歯科材料・器械
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原著
リン酸亜鉛セメントの象牙質に及ぼす影響
阿部 義人水沼 徹中村 光夫中林 宣男
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1984 年 3 巻 1 号 p. 79-84

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抄録
筆者らが象牙質への接着メカニズムを検討してきたところ, リン酸エッチングにより象牙質表層のアパタイトが脱灰し, コラーゲンが変性するため, 接着界面に脆弱な層が生成し, さらに象牙細胞管のプラグが溶解するため細管が開孔することが明らかとなった.リン酸亜鉛セメントが象牙質に対してリン酸エッチングと同様の変化を与えている可能性があると考え, リン酸亜鉛セメントに触れた象牙質表面のSEM像の観察, および4-META/MMA-TBB系レジンの接着試験を行った.その結果, リン酸亜鉛セメントが象牙質に及ぼす影響は, リン酸エッチングと同様のものであることが確認された.このような変化を抑制する方法として, グルタルアルデヒドによる象牙質のコラーゲンの化学修飾が有力であることが, グルタルアルデヒド処理象牙質にリン酸亜鉛セメントを触れさせた表面のSEM像から証明された.
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© 1984 一般社団法人 日本歯科理工学会
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