歯科材料・器械
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原著
歯科矯正治療における歯とブラケットとの接着に関する研究 : (第1報)接着の熱的影響
木村 博岡崎 正之木南 秀雄作田 守
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1984 年 3 巻 1 号 p. 118-121

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抄録
歯科矯正治療における歯とブラケットとの接着は, 矯正治療中には必要な接着強度を有し, 治療終了後には容易に撤去できることが必要である.本研究はこの両方の性質をもつ接着システムを開発しようとするものである.本報では接着の阻害因子としての熱を取りあげ, 接着強度に及ぼす熱の影響を検討するためにヒト抜去歯に対してスーパーボンド, コンサイス, システム1の3種の矯正用接着剤を用いてダイレクト・ボンディング法により金属製ブラケットを接着し, 試作した簡易小型電気炉を用いて各種温度雰囲気(30℃, 50℃, 70℃, 90℃, 150℃)で接着強度を測定した.その結果, いずれの接着剤も温度上昇につれて引張り強度, せん断強度とも低下する傾向がみられた.スーパーボンドとコンサイスの引張り強度は, 30℃で120kg/cm2程度の最高強度を示すが, スーパーボンドは90℃で強度をほぼ消失しており, その間ほぼ直線的に強度は低下している.システム1はその傾向が約15℃高温側にずれている.せん断強度の温度特性は, スーパーボンドでは引張り特性と類似し強力であり, コンサイスとシステム1は30℃で60kg/cm2程度の最高強度を示し, 90℃までは比較的フラットな強度値で, 以下次第に低下する傾向がみられた.
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© 1984 一般社団法人 日本歯科理工学会
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