歯科材料・器械
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原著
可視光線重合型コンポジットレジンの組成およびそれら硬化体からの残留モノマーの溶出について
平林 茂平澤 忠奈須 郁代中西 敏
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1984 年 3 巻 5 号 p. 655-664

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抄録
7種の可視光線重合型コンポジットレジンの組成を明らかにし, それら硬化体から溶出する残留モノマーを測定した.これらの材料のベースモノマーとしては, Tri-EDMA, Bis-GMA, Bis-MPEPPおよびUDMAなど従来の化学重合型コンポジットレジンと同様なモノマー類が使用されていた.ただ, 1種の材料で, di-(methacrylocxymethylene)-tricyclo [5.2.1.02, 6 decaneと言う新しいモノマーが使用されていた.これらの材料の無機質フィラー含有量は, 32〜80wt%の範囲にあり, 材料により異なる.この中で, 2種の材料は従来型の大きなフィラーを使用しており, 他の5種の材料はミクロフィラーを使用していた.このミクロフィラー型レジンのうち, 4種は有機質複合フィラーを含んでいた.臨床に近い条件で硬化させた可視光線重合型コンポジットレジンの1ヵ月アセトン抽出後の残留モノマーの溶出量は, 化学重合型コンポジットレジンの溶出量の約2〜7倍と多かった.また, 可視光線重合型レジンで比較すると, 従来型のフィラーを多量に含んだ材料の方が, その含有量の少ないミクロフィラー型レジンに比較して溶出モノマー量が少なかった.
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© 1984 一般社団法人 日本歯科理工学会
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