東北地理
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男鹿半島目潟に関する二, 三の湖沼学的知見
佐藤 典人船山 幸夫佐藤 正史吉田 武則
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1986 年 38 巻 2 号 p. 143-153

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抄録

秋田県男鹿半島の北西部に位置する3つのマールを対象に, 1973年以来, 湖沼学的調査を行ない, 以下の結果をえた。
各マールの深度図を作成したが, それらによると, 深度傾度の大小は, ほぼ湖岸壁の傾斜に対応していることがわかった。水温の垂直分布における季節変化は, 温帯湖特有の一般的な傾向を示しているものの, 夏季には, とくに強い水温成層の発達を見せる。電気伝導度, 溶存酸素量, ならびに若干の無機溶存成分の含有量から, 二の目潟の異質性が指摘された。約40~50年前の状況と, 無機成分を中心に水質を比較したが, この間に大きな変化は認められなかった。これらのマールの水質は, 基本的には海水の影響を大きく受けやすく, とくに春季には, 冬季の北西季節風下における降水量の多少に対応して (Na++Cl-) の含有量が増減する傾向にある。

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