歯科材料・器械
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原著
市販のコンポジットレジン用ボンディングエージェントの互換性について
中村 かおり小園江 芳之越中 優野口 八九重
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1985 年 4 巻 3 号 p. 226-235

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抄録
数多くのコンポジットレジン用のボンディングエージェントが市販されているが, これらの人歯に対する接着強さには大差がある.そこで, メーカー指定のみのものばかりでなく, 5種類ずつの代表的なボンディングエージェントとコンポジットレジンをとりあげ, その全ての組み合わせと裏層用セメントに対する接着強さを調べた.その結果次のような結論を得た.
① Phenyl-Pを含む, とされるボンディングエージェントは, 全てのコンポジットレジンに強く付く.特にBis-GMAを主成分とするコンポジットレジンに強く接着する.
② リン酸によるエッチングは, エナメル質に対しては非常に有効であった.しかし, 象牙質に対してはクエン酸+塩化第2鉄溶液を使用しても, 接着強さの向上は認められなかった.
③裏層用のセメントにもよく接着したが, 特にカルボキシレートセメントによく付く.リン酸亜鉛セメントやグラスアイオノマーセメントにはボンディングエージェントの種類によって接着強さは異なる.しかし, 全般的に歯とそれぞれのセメントの接着強さよりも強い.
④酸化亜鉛ユージノールセメントは, 全てのボンディングエージェントの硬化を妨げるもののようであった.
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© 1985 一般社団法人 日本歯科理工学会
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