歯科材料・器械
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原著
閉磁路型歯科用磁性維持装置の研究
原 正明奥野 攻三浦 維四石幡 伸雄水谷 紘藍 稔木内 陽介牛田 富之吉田 幸子筒井 英夫
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1985 年 4 巻 3 号 p. 236-242

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抄録
小型で強力な磁力を持つ磁石の開発によって, 磁石が歯科臨床で注目されている.磁力は, 義歯の維持力として多くの例に有効である.近年, Pd-Co-Ni系歯科鋳造用軟質磁性合金が開発され, 根面板の材料として使用されている.磁石は義歯側に取り付けられ, 維持力として利用される.
本報では, 閉磁路を形成したモデルについて検討した.Sm-Co磁石は, 磁石をとりかこむ軟磁性体のヨークに組み込まれる.ヨーク材料としては, 今回, 軟磁性高純度フェライト系ステンレス鋼とパーマロイを用いた.根面板のモデルとしては, ヨーク材として使用した軟磁性ステンレス鋼の円盤を用いた.
磁気吸引力とヨーク寸法の変化の関係について検討し, さらに, ステンレス鋼およびチタンの箔を磁石露出面に接着し, Sm-Co磁石の腐食防止について考察した.
結論は以下の通りである.
1. 閉磁路を形成することにより, 開磁路の場合に比べて吸引力が増大した.
2. 吸引力は, 主にヨーク直径によって影響を受けた.
3. 4-METAレジンを用いてステンレス鋼及びチタンの箔を磁石露出面に接着することにより, 磁石表面の腐食は防止された.その場合でも吸引力は450〜630 gを示した.
4. 実際に, 根面板の軟磁性を必要とする部分に軟磁路ステンレス鋼を用い, 一般の歯科鋳造用合金と組み合わせた根面板を試作し, 良好な結果を得た.
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© 1985 一般社団法人 日本歯科理工学会
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