歯科材料・器械
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原著
タンニン, フッ化物合剤を添加した石こう系仮封材の試作
-とくにその物性について-
加藤 幸紀山賀 谷一郎
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1985 年 4 巻 4 号 p. 307-314

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抄録

石こう系仮封材は硬化時の膨脹により, 完全な辺縁の封鎖を期待することができる.また, タンニン, フッ化物合剤は象牙質中の有機成分の溶解を抑制, 無機成分の耐酸性を向上, そして象牙細管を封鎖することにより, 2次う蝕の減少や歯髄の保護が期待できる.
タンニン, フッ化物合剤を添加した石こう系仮封材の物性を調べた結果, (1)混水比, 硬化時間, 崩壊率, 硬化膨張そして内部の気泡はタンニン, フッ化物合剤の添加量の増加とともに増加した.(2)ブリネル硬さそして圧縮強さはタンニン, フッ化物合剤の添加量の増加とともに減少した.(3)また硫酸カルシウム・2水塩の結晶形態はタンニン, フッ化物合剤の添加量が12%以下では変化が見られなかった.
以上の結果, タンニン, フッ化物合剤を4〜8%添加した石こう系仮封材は臨床上使用出来るものと思われる.

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© 1985 一般社団法人 日本歯科理工学会
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