歯科材料・器械
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原著
リン酸塩系埋没材の硬化膨張
第1報 コロイダルシリカ液の影響
高橋 純造岡崎 正之木村 博生内 良男久保 文信
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1985 年 4 巻 5 号 p. 496-503

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抄録
リン酸塩系埋没材の硬化膨張機構を, 走査電顕とX線回折により研究した.市販のガラスビーズ(基材として), マグネシアクリンカーとNH4H2PO4(結合材として)を用いて, 6種の埋没材を試作した.埋没材中のガラスビーズは80%一定とした.マグネシアクリンカーとNH4H2PO4の比は, 12/8から4/16まで変えた.埋没材は, 3種の20%コロイダルシリカ液とL/P=0.24で練和した.次のような結果が得られた.
(1)硬化膨張開始時間は, マグネシアクリンカーとNH4H2PO4の比が増すとともに, 減少した.
(2)2時間後の硬化膨張は, マグネシアクリンカーとNH4H2PO4の比が7/13か6/14の時最大を示した.しかし, MgNH4PO4・6H2OのX線回折結果は, この結果と一致しなかった.
(3)コロイダルシリカ液の濃度は同じにもかかわらず, 硬化膨張に差を生じた.硬化膨張が大きかった液は, 大きさのそろった球状のコロイダルシリカ粒子をもち, 保水能も大きかった.
(4)硬化初期には, Mg(NH4)2H2(PO4)2・4H2Oと思われる, 大きな針状結晶が見られた.最終生成物であるMgNH4PO4・6H2O結晶の形状は, 板状または塊状であった.
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© 1985 一般社団法人 日本歯科理工学会
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