歯科材料・器械
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原著
分子複合材を用いる歯科用レジンに関する研究
(第1報)多官能性シロキサンオリゴマー・MMA共重合体の圧縮強さ
倉田 茂昭山崎 升
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1985 年 4 巻 5 号 p. 568-572

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抄録
高物性の充塡および硬質用ベースレジンを得る目的で, ラダー構造をもち剛直な高分子であるシロキサンオリゴマーとMMAを共重合し, 新しい型のコンポジットとも言える樹脂を合成した.シロキサンオリゴマーは三官能性シランであるγ-メタクリロキシプロピルトリメトキシシラン(γ-MPS)とフェニルトリエトキシシラン(PS)とから調製した.種々の割合のγ-MPSとPSから調製されたオリゴマーは分子量約1100, 無色, 透明の粘性液体で, その粘度はオリゴマー中のPS量の増加と共に高くなるが, いずれも市販のBis-GMAより低い.
MMAに対し各オリゴマーを20 wt%複合した共重合体の圧縮強さは, オリゴマー中の二重結合量の増加と共に増大し, 同様なMMA-Bis-GMA, 3GまたはTMPTなどの共重合体と比べ大きかった.
シロキサンオリゴマーの結合様式と各共重合体の相対的な架橋度の値から, オリゴマー共重合体の優れた機械的性質は架橋のみでなく, 剛性分子の複合による強化を考慮することが示唆された.
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© 1985 一般社団法人 日本歯科理工学会
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