抄録
MgNH4PO4・6H2O-NH4H2PO4系反応過程をTG-DTA, X線回折により検討した.TG-DTAの結果より, MgNH4PO4・6H2Oは静止大気中ではMgNH4PO4・H2Oを経て, 乾燥空気流通下では直接にNH3およびH2Oを放出して非晶質相を形成する.NH4H2PO4は約190℃で融解後に分解し非晶質相となる.200〜400℃では非晶質相のみになっており, NH3あるいはH2Oの離脱が徐々に起こる.約400℃以上ではNH3あるいはH2Oを完全に放出するとともに, テトラメタリン酸マグネシウムMg2P4O12として結晶化する.
一方, 定温で加熱した場合には, 100℃でMg(NH4)2H2(PO4)2・4H2Oが, 300℃でMgNH4(PO3)3が生成したことを除いては, ほぼ昇温の場合と同様の反応過程を示すことがわかった.