抄録
陶材焼成時の変形の原因追及の一環として, 88Au合金に鉄, インジウム, スズを単独あるいは複合して合計1 wt%添加した15種の試作合金の熱膨張ヒステリシス量, すなわち, 加熱・冷却した後に残る膨張あるいは収縮量を決定した.
インジウム添加量の多い, あるいはスズ添加量の少ない合金は, 大きなヒステリシス量を示し, 加熱・冷却サイクルを重ねる毎に, ヒステリシス量は増大した.反対に, インジウム添加量の少ない, あるいはスズ添加量の多い合金は, 小さいヒステリシス量を示し, サイクルを重ねる毎に, ヒステリシス量は減少した.鉄添加量が変化しても, ヒステリシス量はほとんど影響を受けなかった.
ヒステリシス量と800〜970℃の温度区間における熱膨張係数(前報)の間には, 一次の直線関係が見出された.