1987 年 6 巻 3 号 p. 241-248
リン酸アルミニウムはシリカと相対応した結晶構造, すなわちベルリナイト (石英型), トリダルファイト (トリジマイト型), クリスタルファイト (クリストバライト型) を有し, 同様な転移現象示す.これに着目し, リン酸アルミニウムを歯科鋳造用埋没材に利用するための基礎的検討を行なった. 特に, 耐火材の熱的特性として加熱膨張量ならびに熱安定性について検討した. リン酸アルミニウムはシリカに比べてベルリナイトからクリスタルファイトへ転化しやすく, この際約20%の非常に大きい体積膨張を起こす. さらに, リン酸アルミニウムの耐熱性について検討したところ1,400℃, 1時間の加熱によっても分解せず, また, SiO2, Al2O3, MgO, グラファイト, 歯科鋳造用合金との反応もみられず, 歯科用埋没材の耐火材として十分利用できることがわかった.