抄録
MMA-PMMAレジンに増感剤 dl-カンファーキノン, 還元剤N, N-ジメチルアミノエチルメタクリレートを組み合わせた可視光線重合型レジンを試作した. 試作レジンの硬化深度は, 可視光線の照射時間, 粉液を混合後光を照射するまでの放置時間, 粉の液に対する割合, が増大するほど大きくなった. 粉液比2対1, 放置時間80分, 照射時間2分の場合には硬化深度は36mm以上に達した. 硬化レジンポリマーの分子量は表層部では内部に比して低下する傾向を示し, 硬化物内部の分子量の大きさを比較すると常温重合型 < 可視光線重合型 < 加熱重合型の順であった. レジン硬化物中に存在する未重合モノマー量は, 常温重合型 ≈ 可視光線重合型 > 加熱重合型の順に減少した.以上の結果から, 可視光線重合型レジンの特徴が明らかになると同時に, 試作レジンは新しいタイプの可視光線重合型レジンとして利用可能であることが分った.