歯科材料・器械
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原著
接着技法における歯科用金属の被着面処理法 第1報 複合電析法による金合金の被着面処理
近藤 康弘山下 敦鈴木 一臣
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1988 年 7 巻 1 号 p. 13-19

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抄録

金属ならびに歯質の両者に接着するレジンが開発されたことによって, 少数歯欠損補綴や歯周治療の固定にリテーナーを応用した接着ブリッジや接着スプリントが広く臨床に用いられるようになった. しかし, リテーナーがしばしば支台歯から金属界面破壊で脱落する例が認められた. これは, 接着性レジンの金属に対する接着耐久性の不足が原因であったと言える. そこで, 本研究では金属表面への接着強化を目的により効果的な被着面処理法の開発を目的としている. 今回は, ポリマー含有Sn電析処理がパナビアEXとスーパーボンドC & Bの金合金タイプIVへの接着強さに及ぼす影響について検討した. その結果, ポリマーをSn電析液中に添加するには, 陽イオン界面活性剤を用いる必要があった. しかし, その場合でもポリマーの粒子径は0.5〜1.0 μmである必要があった. 複合電析を用いれば接着強さは, Sn電析に比較して70〜80%上昇した. 特に, ポリマーの違いに影響を受けず仕込み時の濃度が5〜10%の時最大接着強さが得られた.

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© 1988 一般社団法人 日本歯科理工学会
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