歯科材料・器械
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原著
非貴金属系合金の研削に関する研究 (第3報)一定荷重によるCo-Cr合金の研削
宮川 修渡辺 孝一大川 成剛中野 周二塩川 延洋小林 正義田村 久司
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1988 年 7 巻 1 号 p. 1-12

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抄録
天秤型の装置を試作し, Co-Cr合金を被削材とし, 市販のビトリファイド系ホィール3種とCBNおよびダイヤモンドの試作電着ホィールの研削性能の持続性を, 連続3時間の乾式研削により評価した. 被削材とハンドピースの振動ならびにマンドレールの振れまわりの解析, 及び, 切りくずの形態とホィールの目づまりや損耗の観察から, 研削挙動の違いを検討した. 結果は以下のようである. 1)アルミナホィールでは, ホィール回転数が24,000 rpmの場合は研削中に突然, また12,000 rpmの場合は徐々に削れなくなる傾向がある. それに呼応してホィール表面には砥粒の局部的な摩滅による溝ができた. 2)ビトリファイド系ホィールの場合, 12,000 rpmでは被削材高さが高い時, 24,000 rpmでは低くても, 被削材とホィールは短い周期で衝突を繰り返す. その場合はホィールの損耗が大きい反面, 砥粒切れ刃の自生作用のため高い性能が持続した. 3)研削荷重が大きく, 周速度が大であると, ダイヤモンドホィールは研削初期に極めて優れた性能を発揮するが, 時間とともに著しく低下した. 砥粒を保持するNi-Pメッキ合金が何らかの変化をおこしたためと考えられる. 4)ダイヤモンドホィールの初期の性能には遠く及ばないが, CBNホィールも優れた性能を発揮し, 性能の低下はほとんど認められなかった.
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© 1988 一般社団法人 日本歯科理工学会
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