歯科材料・器械
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原著
直接引張り試験による可視光線重合型コンポジットレジンの水に対する環境耐久性の評価
藤島 昭宏
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1988 年 7 巻 1 号 p. 44-61

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抄録

可視光線重合型コンポジットレジンの水に対する環境耐久性を評価するために, 市販の7種類の材料を用いて, 試験片を37℃蒸留水中に1日から2ヶ月間水中浸漬した後, 直接引張り試験, 圧裂試験, 及び圧縮試験を行ない, 引張り強さ, 圧裂引張り強さ, 及び圧縮強さの経時的変化を測定した. すべてのコンポジットレジンの吸水量は水中浸漬1週間にかけて急増したのち, 2ヶ月にかけて漸増する傾向にあった. 従って吸水によりコンポジットレジンに物理的もしくは化学的劣化が生じる可能性があると考えられた. すべてのコンポジットレジンにおいて, 直接引張り試験により測定された引張り強さは水中浸漬1日後に最高値を示した後, 2ヶ月の間に有意に低下し, 2ヶ月後には最高値の55〜75%の値を示した. しかし, 各材料により低下の程度が異なっていることが判明した. ほとんどの材料の圧裂引張り強さや圧縮強さは水中浸漬1週間以降平衡を保ち, 2ヶ月間では低下が認められなかった. これらのことから, 直接引張り試験はコンポジットレジンの水に対する環境耐久性を短期間に評価できる非常に優れた方法であることが判明した.

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© 1988 一般社団法人 日本歯科理工学会
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