歯科材料・器械
Online ISSN : 2188-4188
Print ISSN : 0286-5858
ISSN-L : 0286-5858
原著
焼付用非貴金属合金と陶材との界面における焼成時の反応について(Ⅰ) ―Beを含む市販合金―
渡辺 孝一大川 成剛宮川 修中野 周二塩川 延洋小林 正義
著者情報
ジャーナル フリー

1988 年 7 巻 4 号 p. 660-674

詳細
抄録
陶材焼成時における陶材と市販Ni-Cr合金(Beを含む)との界面反応を明らかにするため, 臭素-メタノール溶液で反応界面を現出させ, X線マイクロアナライザ(EPMA)とX線回折法により分析した. また高周波スパッタリングによりその界面を1 μmずつ陶材側へエッチングしながら, EPMAで分析し, 厚さ方向の元素分布状態を求めた. 得られた主な結果は以下の通りである. 焼成の初期段階で, 多量のNi酸化物が生じる. しかし, 係留時間が長くなると, Ni酸化物は還元され, おもにBe酸化物が生じる. これは陶材がガラス化することにより, 通気性が無くなり, 界面での酸化分圧が著しく低下したためである. このような環境では, 界面生成物は合金成分比よりむしろ酸化物の平衡解離圧に支配される.
著者関連情報
© 1988 一般社団法人 日本歯科理工学会
前の記事 次の記事
feedback
Top