抄録
陶材焼成時における陶材と市販Ni-Cr合金(Beを含む)との界面反応を明らかにするため, 臭素-メタノール溶液で反応界面を現出させ, X線マイクロアナライザ(EPMA)とX線回折法により分析した. また高周波スパッタリングによりその界面を1 μmずつ陶材側へエッチングしながら, EPMAで分析し, 厚さ方向の元素分布状態を求めた. 得られた主な結果は以下の通りである. 焼成の初期段階で, 多量のNi酸化物が生じる. しかし, 係留時間が長くなると, Ni酸化物は還元され, おもにBe酸化物が生じる. これは陶材がガラス化することにより, 通気性が無くなり, 界面での酸化分圧が著しく低下したためである. このような環境では, 界面生成物は合金成分比よりむしろ酸化物の平衡解離圧に支配される.