抄録
本研究では, チタンの化学研磨を検討した. 塩酸, 硫酸, フッ素水素酸およびチタン用化学研磨浴(フッ化水素酸と硝酸の混合溶液)にチタン試験片を浸漬させて溶解量, 表面粗さ, 表面性状を検討した. 塩酸, 硫酸では溶液を加温するとチタンに対する溶解性が良くなる傾向が認められたが, 溶解量はフッ化水素酸に比べると非常に小さく, 実用性に劣ることが判明した. フッ化水素酸は室温で, しかも数%の低濃度溶液でもチタンの溶解性に優れていることが判明し, 短時間浸漬でチタン鋳造体表層の硬化層の除去が可能であった. チタン用化学研磨浴は, 溶解量はそれほど大きくないが表面粗さと表面性状を改善したため, 中仕上げ用として有効であることが判明した.