歯科材料・器械
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高強度Ag-Pd-Cu三元合金
廣岡 明美中村 健吾後藤 真一
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1989 年 8 巻 1 号 p. 36-59

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抄録

パラジウム25, 30, 35, 40wt%, 銅20, 25, 30wt%を含み残量を銀とする12種のAg-Pd-Cu合金をアルゴン雰囲気中で溶製した.歯科精密鋳造に準じた方法で鋳造したのち, 軟化熱処理(800℃から水中急冷)・硬化熱処理(450→250℃炉冷処理)した合金の諸性質を調べた.軟化熱処理したとき, 実験合金のビッカース硬さは145〜200, 引張強さは41〜60kgf/mm2, 伸びは11%から27%の範囲内にあって, きわめて延性に富む.硬化熱処理を加えると, 合金のビッカース硬さは241〜433, 引張強さは73〜107kgf/mm2の範囲に増加し, 伸びは0.5〜3.5%に低下する.実験範囲内で硬化処理時の引張強さが最大となった組成は, 45Ag-35Pd-20Cu付近にあり, 104kgf/mm2に達する.37℃0.1%硫化ナトリウム溶液中に3日間全浸漬した試験片の明度(L*)は58〜67の範囲にあった.硬化処理時, Pd30〜40%, 銅20〜30%を含むAg-Pd-Cu三元系合金は, 接着ブリッジ用として十分な硬さ・強さを有するが伸びが小さく, かつ, 耐変色性が良くないので, 臨床応用には改良の余地がある.

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© 1989 一般社団法人 日本歯科理工学会
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