抄録
本研究は, 種々のアルキルアンモニウム塩/スズから成る複合電析液による歯科用合金の被着面処理法について検討したものである.すなわち, 複合電析処理した被着面の表面分析をするとともに, アルキルアンモニウム塩のアルキル鎖長およびアルキル鎖末端の原子団が接着性レジンとの接着強さにおよぼす影響について調べた.その結果, ESCA分析から複合電析した金属被着面に, アルキルアンモニウムに基づく炭素および窒素が確認された.アルキルアンモニウムのアルキル鎖の炭素数が10〜16の場合, 歯科用合金に対して約500kg/cm2の安定した接着強さが得られた.アルキル鎖の末端原子団に水酸基, アミノ基およびビニル基を持ったアルキルアンモニウムの使用が接着強さの向上に効果を示した.