歯科材料・器械
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チタン補綴物の研磨に関する研究(第6報) : フッ化水素酸, 硝酸系化学研磨浴の検討
玉置 幸道宮崎 隆鈴木 暎宮治 俊幸
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1989 年 8 巻 1 号 p. 103-109

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抄録
フッ化水素酸, 硝酸のモル濃度を変えた各種化学研磨浴を試作し, チタンの化学研磨を検討した.チタン板材を各種化学研磨浴に浸漬させて化学研磨を行なったところ溶解量, 表面粗さ, 表面性状はフッ化水素酸と硝酸の配合比に大きく影響を受けることが判明した.溶解量はフッ化水素酸のモル濃度が高いほど, また硝酸のモル濃度が低いほど大きくなり, それに伴ない表面粗さは小さくなる傾向が認められ, たとえばフッ化水素酸5モル, 硝酸5モルの研磨浴では僅か1分間浸漬でかなり平滑な面が得られた.しかし, 溶解量が大きいため補綴物を溶かし過ぎる恐れもあり, またSEM像観察では強い溶解作用により多少荒れた部分も認められた.逆にフッ化水素酸1モル, 硝酸5モルの研磨浴は短時間では溶解量も小さく, 表面粗さもほとんど変わらないが, 浸漬時間を延長することにより徐々に表面性状が改善され, SEM像観察でも非常に平滑な面が認められた.従って, 補綴物の精度を保ちつつ平滑な仕上げ面を化学研磨で得るには, 溶解作用の小さい研磨浴を用いて浸漬時間を長くした方が有効であると考えられた.
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© 1989 一般社団法人 日本歯科理工学会
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