歯科材料・器械
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原著
鉄及び銅のフッ化物がMMA/TBBOレジンの重合及び象牙質への接着に及ぼす効果
秋元 隆宏門磨 義則今井 庸二
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1989 年 8 巻 3 号 p. 425-430

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抄録
象牙質に対するMMA/TBBOレジンの接着メカニズムを理解するためのモデル実験として, フッ化第二銅(CF), フッ化第二鉄(FF)および一般に象牙質への処理液として使われている塩化第二鉄(FC)のクエン酸(CA)溶液で処理したコラーゲンシート存在下にMMA/TBBOの重合を検討した.MMA/TBBOレジンの硬化時間は, FC-CA溶液で処理したときに比べCF-CA, FF-CA溶液で処理したコラーゲンの存在下で速くなった.PMMAの分子量は重合した場所により異なり, コラーゲンシートの内側で重合したPMMAの分子量が最も大きく, 外側で重合したPMMAの分子量が最も小さかった.象牙質に対する接着強さは, CF-CA, FF-CA溶液で処理してもFC-CA溶液で処理した時と変わらなかった.CF-CA, FF-CA溶液処理は, FC-CA溶液処理と同様に効果的であった.これらの結果は, コラーゲンに吸着された鉄塩がMMAの重合に関与し, その結果として象牙質へのMMA/TBBOレジンの接着にも影響を及ぼしていることを示唆している.
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© 1989 一般社団法人 日本歯科理工学会
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