1989 年 8 巻 3 号 p. 431-435
ポリスルフォン床義歯を作製する方法として開発したプリフォーム圧縮成形法について報告してきた.本報ではプリフォーム圧縮成形法に使用できる人工歯を選択するため, 市販の人工歯を用いて, 人工歯と義歯床の保持力を検討した.陶歯は, 陶歯に埋入されている金属ピンにより, 義歯床との保持力は大きく, 保持力試験では陶歯が破壊した.ポリスルフォン歯は, 人工歯を保持している上成形型の温度を140℃以上にすれば, 義歯床と強く結合した.アクリルレジン歯は, ポリスルフォンとの保持力は弱いが, アクリルレジン歯に接着剤を塗布することにより, 保持力は強化され, 臨床に使用できる値に達した.プリフォーム圧縮成形法では, アクリル歯, 陶歯, ポリスルフォン歯のいずれの人工歯も臨床に使用できることがわかった.