抄録
最近, GC社よりビタシェードを採用し, グラフト処理されたガラスフィラーを含有する光重合型前歯修復用コンポジットレジンが販売された. そこで本レジンの種々の性能について走査電顕, 粗さ計, 色差計等を用いて検討を加えたところ, 以下のような知見が得られた. 1. グラフトLCレジンはセミハイブリッドレジンに分類された. 2. グラフトLCレジンのガラスフィラーは2種あり, それぞれSi, Ba, Al, とSiが検出された. 3.グラフトLCレジンの研磨面の粗さは, セミハイブリッドレジンであるにもかかわらず, 比較的小さかった. 4. アルカリ溶液中での劣化試験により, グラフトLCレジンの研磨面は粗造となり, 劣化層の幅も時間の経過と共に大きくなったが, 劣化層中のフィラーは脱落しなかった. 5. アルゴンイオンエッチング装置は, 劣化層を明確に走査電顕観察するために有効であった. 6. グラフトLCレジンの重合前後の色調変化は大きなものであったが, 長期の水中保管によっては殆んど色調変化を示さなかった.