歯科材料・器械
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原著
チタネート系カップリング剤を応用した二酸化チタン-高分子複合体の諸性質
吉田 圭一松村 英雄田中 卓男熱田 充
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1989 年 8 巻 5 号 p. 629-635

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抄録
硬質レジンのオペークレジンの機械的性質の向上, 技工操作性の改善を図ることを目的として, チタネートカップリング剤などで表面処理した二酸化チタンをフィラーとする複合体を作製し, 圧縮および曲げ強さを測定した.マトリックスレジンモノマーは, トリエチレングリコールジメタクリレート(TEGDMA)と1, 6-ビス(メタクリロキシ-2-エトキシカルボニルアミノ)2, 4, 4-トリメチルヘキサン(UDMA)で, 二酸化チタンはルチル型を, 表面処理剤としてはイソプロピルジメタクリルイソステアロイルチタネート(KR7), イソプロピルトリ(ジオクチルホスフェート)チタネート(KR12)と無水トリメリット酸4-メタクリロキシエチル(4-META)を使用した.KR7で処理した二酸化チタンをフィラーとした試料は, 無処理のものに比して圧縮強さが向上し, 4-METAで処理したものは曲げ強さが向上した.また, KR7と4-METAを併用したものは, 圧縮, 曲げ強さともに向上した.曲げ試験片破断面を走査型電子顕微鏡で観察すると, 無処理の試料は二酸化チタンとマトリックスレジンの界面での剥離が多く認められたが, KR7+4-METAで処理した試料はマトリックスレジンの凝集破壊が観察された.以上のことから, KR7および4-METAで表面処理した二酸化チタンは, 金属色隠蔽効果のみならず物性の向上も期待できるオペークレジンの顔料として応用できると考えられた.
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© 1989 一般社団法人 日本歯科理工学会
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