歯科材料・器械
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原著
可視光線重合型含フッ素系軟質レジンに関する研究(第3報) : 低分子量フルオロポリマーの検討
大江 陽一郎門磨 義則今井 庸二
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1990 年 9 巻 4 号 p. 654-658

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抄録
低分子量のフッ素系ポリマーであるフッ化ビニリデン, ヘキサフルオロプロピレンよりなる共重合体(2-6FL), またはフッ化ビニリデン, テトラフルオロエチレン, ヘキサフルオロプロピレンよりなる共重合体(2-4-6FL)と2, 2, 3, 3-テトラフルオロプロピルα-フルオロアクリレート(4FFA), 2, 2, 3, 3, 4, 4, 5, 5-オクタフルオロペンチルα-フルオロアクリレート(8FFA)を組み合わせた新しい可視光線重合型軟質レジンを試作し, 軟質裏装材料としての応用を考慮しつつその理工学的性質を検討した.水に対する接触角は4FFAで90〜92°, 8FFAで90〜94°であった.硬さは2-4-6FL系で特に軟らかくなり, 4FFAで硬度(JIS A)42〜46, 8FFAで33〜39と十分な軟らかさが得られた.全体に前回に比べて硬度は5〜10軟化し, ポリマー分子量の影響が認められた.10週間の真の吸水率は2-6FLと4FFAで0.8〜1.2%, 8FFAで1.3〜1.7%, 2-4-6FLと4FFAで1%程度, 8FFAで2%程度となった.溶解率は2-6FLと4FFAで0.4〜0.5%, 2-4-6FLと4FFAで0.3〜0.4%, 2-6FLと8FFAで1.5〜1.9%, 2-4-6FLと8FFAで1.1〜1.5%となった.モノマー溶出率は最大でも0.1%と僅少であった.引張強さは前回の40〜70%であり, 最も弱い2-4-6FLと8FFAでは12〜15kgf/cm2であった.以上のように低分子量のポリマーを用いることにより, さらに軟らかい軟質レジンが得られることが判明した.
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© 1990 一般社団法人 日本歯科理工学会
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