発達心理学研究
Online ISSN : 2187-9346
Print ISSN : 0915-9029
子どもの問題行動の発達 : Externalizingな問題傾向に関する生後11年間の縦断研究から
菅原 ますみ北村 俊則戸田 まり島 悟佐藤 達哉向井 隆代
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1999 年 10 巻 1 号 p. 32-45

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抄録

児童期の子ども (平均年齢l0.52歳) の間題行動発生に関わる先行要因について, 対象児童が胎児期より開始された縦断サンプル (約400名) を用いて検討をおこなった。10歳時の注意欠陥および攻撃的・反抗的な行動傾向 (externalizingな問題行動) の予測因子として, 子ども自身の乳幼児期からの行動特徴, 家庭の社会経済的状況, 親の養育など多くの要因が有意な関違を持っており, 多要因の時系列的な相互作用によって子どもの問題行動が発達していくプロセスが浮かび上がってきた。また, 発達初期に同じような危険因子を持っていたとしても, 良好な父親の養育態度や母親の父親に対する信頼感などの存在によってこうした問題行動の発現が防御されることも明らかになった。これらの結果から, 子どもの精神的健康をめぐるサポートの在り方について考察をおこなった。

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© 1999 一般社団法人 日本発達心理学会
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