抄録
本研究では, 乳幼児を持つ416組の父親・有職の母親・無職の母親を対象に, 仕事観と子ども観について比較を行い, さらに仕事観, 子ども観と, 父親の育児参加との関係を検討した。仕事観は「充実・自己実現」「制約・負担」「仕事中心」「経済的手段・義務」の4因子, 子ども観は「充実・楽しみ」「制約・負担」「社会的存在」「生きがい」「無関心・低価値」の5因子が得られ, これをもとに育児参加との関連を検討した。その結果, 父親の育児参加は, 労働時間という物理的な要因に加え, 「仕事中心」の仕事観, 「無関心・低価値」の子ども観が関連しており, さらに価値観の背後には, 職場や経済的な状況などの要因が関係していることが示された。これらのことから育児参加については, 複数の役割を持つ中で仕事や親であることにどのような意味を感じ, 重み付けをするかという意識の側面を考慮に入れる必要があること, また職場を初めとする社会要因などを含めた分祈が重要であることが示唆された。