発達心理学研究
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実在か非実在か : 空想の存在に対する幼児・児童の認識
富田 昌平
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2002 年 13 巻 2 号 p. 122-135

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抄録

空想の存在に対する幼児・児童の認識を調べるために2つの研究を行った。研究1では,4歳児30名,6歳児32名,8歳児29名に対して,4つの空想の存在(サンタクロース,おばけ,セーラームーン,オーレンジャー)について「会ったことがあるか」「会ったとすればそれは本物だったか」「どうしたら会うことができるか」を尋ねた。研究2では,その親91名に対して質問紙調査を行い,「子どもはこれまでに空想の存在の扮装物と会ったことがあるか」「まだ信じていると思うか」などを尋ねた。主な結果は次の通りである。(1)空想の存在の扮装物を"本物-偽物"の次元によって認識し,本物と偽物が未分化な状態から分化した状態へと移行するようになるのは4歳から6歳の間であることが示唆された。(2)空想の存在を"実在-非実在"の次元によって認識し,実在と非実在が未分化な状態から分化した状態へと移行するようになるのは6歳から8歳の間であることが示唆された。

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© 2002 一般社団法人 日本発達心理学会
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