発達心理学研究
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家族成員による夫婦間葛藤の認知と子どもの家族機能評価との関連 : 中学生とその家族を対象に
川島 亜紀子
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2005 年 16 巻 3 号 p. 225-236

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抄録

本研究は, 夫婦間葛藤の認知と子どもの家族機能評価との関連について検討することを目的として実施された。中学生とその家族を対象に質問紙調査を実施し, 子どもの家族機能評価(「家族内コミュニケーション」「家族に対する評価」「家族の凝集性」)と, 両親・子どもの場面想定法による夫婦間葛藤の認知(原因帰属)を測定した。両親の夫婦間葛藤認知は, 因子分析によって「子どもへの帰属」, 「内的原因帰属」, 「外的原因帰属」に分類された。また, これらとは別に, 夫婦間葛藤の際の夫婦関係の深刻さを示すものとして「関係性帰属」の項目を追加した。子どもについても同様に「内的原因帰属」「外的原因帰属」「関係性帰属」を用意した。欠損値のない131組に対し, 両親の夫婦間葛藤認知と子どもの夫婦間葛藤認知・家族機能評価の相関関係からモデルを作成し検討したところ, 子どもの性別に限らず, 母親による夫婦間葛藤の外的原因帰属は子どもによる関係性帰属に関連していた。子どもの夫婦間葛藤認知と家族機能評価との関連は性別によって異なり, 父親による夫婦間葛藤の内的原因帰属と男子の「家族に対する評価」との間に関連が見られた。また, 両親の夫婦間葛藤の原因帰属パターンが子どもの「家族に対する評価」に与える影響は, 子どもの性別によって異なり, 同性の親による内的要因優位な原因帰属パターンが子どもの高い「家族に対する評価」と関連することが明らかになった。

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© 2005 一般社団法人 日本発達心理学会
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