発達心理学研究
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就学前後の子どもの「ほめ」の好みが動機づけに与える影響
青木 直子
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2005 年 16 巻 3 号 p. 237-246

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抄録

ほめることに関する研究の多くは, ほめ手側の視点から行われてきた。だが, ほめられる側の「ほめ」に対する認識・感情を取り上げた研究は少ない。そこで, 研究1では就学前後の子どもがほめられたと思うエピソードや, ポジティブに受け止めた「ほめ」について調査を行った。ほめられたエピソードと達成場面での「ほめ」は, 就学前後での変化がみられなかった。お手伝い場面では, 就学前児は"すごい・上手"といった賞賛の「ほめ」, 1年生は"ありがとう"という愛情・感情の「ほめ」を多く報告するという発達差がみられた。次に, お手伝い場面を設定し, "ありがとう""上手"という「ほめ」を用いた実験を行った。実験は, 子どもが実験者のお手伝いをし, 実験者から"ありがとう", "上手", うなずくという3通りの反応のいずれか1つを受け, その後の自由時間中にこなしたお手伝いの作業量を検討するものであった。実験の結果, 就学前児は"上手", 1年生は"ありがとう"という「ほめ」を受けた群の方が, 自由時間での作業量が多いことが示された。

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© 2005 一般社団法人 日本発達心理学会
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