発達心理学研究
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認知的道具の自発的使用と内化による概念発達 : 量概念の発達における重ね合わせと数の役割
湯澤 正通湯澤 美紀渡辺 大介
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キーワード: , , 重ね合わせ, 幼児, 概念
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2006 年 17 巻 2 号 p. 171-181

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抄録

本研究では,重ね合わせと数の使用および内化が幼児期における面積と長さの量概念の発達にどのように関わっているかを検討した。研究1では,均等な分割を促進したり,妨害したりするような条件で量を等しく2分するために3〜6歳の幼児が使用する認知的道具を調べた。その結果,3歳児は,4〜6歳児と比較して,条件にかかわらず,刺激を細分し,細分した個体を,数に関する方略によって均等に分ける傾向が強かった。それに対して,4歳半ごろから,半分という単位で量を捉え,刺激を直接2分する反応が増加したが,4歳児では,誤った手がかりを与えられた条件で不均等な分割をする子どもが多かった。5歳半ごろから,重ね合わせの自発的使用が増加し,誤った手がかりを与えられても,一貫して中央で分割することができる幼児が増えた。研究2では,4〜6歳児に重ね合わせの使用の訓練を行うことの効果を調べた。その結果,重ね合わせの使用がその認知的道具の内化と因果的に関連していることが示唆された。

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© 2006 一般社団法人 日本発達心理学会
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