発達心理学研究
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3歳児における父子と母子の遊びタイプの比較
加藤 邦子近藤 清美
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2007 年 18 巻 1 号 p. 35-44

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抄録

本研究の目的は,父子遊びと母子遊びに行動評定を実施することにより,遊びタイプを見出し,父母比較,養育態度との関連性について検討することである。親子遊びにおける観察の指標は,「子どもの自発性の尊重」,「親の適切な構造化と限界設定」,「敏感性」(Sensitivity)を用いた。対象は72組の3歳児とその父母であった。その結果,父母比較では,行動評定値と子どもの属性との関連,遊びタイプの分布,遊びタイプと養育態度との関連において違いが明らかになった。母親の「子どもの自発性の尊重」は,子どもの月齢,きょうだい順位との間に有意な正の関連がみられた。親子遊びは,行動評定値の高低により,H-H-H,L-L-L,Limit High, Limit Lowの4タイプに分類された。父子遊びではH-H-H(41.7%),L-L-L(30.6%)が多く,母子遊びでは,Limit High(30.6%)が多かった。養育態度との関連性は,L-L-Lの父親は,4タイプの中で最も柔軟性が乏しく育児コミットメントも消極的で,Limit Highの母親は硬い養育態度を示した。L-L-Lタイプの父親とLimit Highタイプの母親の組み合わせをもつ3歳児と,両親がH-H-Hタイプの3歳児を比較したところ,集団場面でトラブルが起こったときに感情の統制が低いという関連がみられた。

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© 2007 一般社団法人 日本発達心理学会
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