発達心理学研究
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社会的他者としてのロボット : 自閉症児-ロボットの関係性の発展
宮本 英美李 銘義岡田 美智男
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2007 年 18 巻 1 号 p. 78-87

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抄録

近年,人間とロボットの社会的関係に注目したロボットの研究開発が進められるに伴い,ロボットを用いた自閉症療育支援も提案されてきている。これまでの研究では自閉症児がロボット等の無生物対象に興味をもち社会的反応を示すことが報告されているが,ロボットが他者のような社会的主体として扱われていることを評価するのは容易ではない。本研究では,ロボットが社会的主体としてどのように関係性を自閉症児と共に発展させるかを検討した。養護学校の児童とロボットの相互作用場面を縦断的に観察し,ロボットの意図的行動に固執した二名の自閉症児のパフォーマンスを分析した。その結果,対象児はロボットの意図に対して鋭敏であり,ロボットと相互作用を続ける中で固執していた行動パターンを修正していたことが示された。以上の知見は,ロボットが自閉症児と社会的関係を発展させられると同時に,彼らの社会的反応の促進に有効である可能性を示唆している。

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© 2007 一般社団法人 日本発達心理学会
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