発達心理学研究
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家庭での自然観察によるつかまり歩きの縦断的発達研究
白神 敬介根ヶ山 光一
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2008 年 19 巻 4 号 p. 375-388

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抄録

本研究の目的は,これまで歩行発達研究において取り上げられることのなかったつかまり歩きの分析を行い,つかまり歩きの構造を探索的に検討することである。4人の乳児を観察対象とし,家庭での自然観察によりビデオ撮影を行った。つかまり歩きの分析指標として,把持形態,体向,動作時間と動作回数を用いた。つかまり歩き形態の発達プロセスの検討から,把持形態においては重力方向への荷重に対応する四足歩行型から前部方向への荷重とモノの操作に対応する二足歩行型への推移が示され,つかまり歩きには這行寄りの形態と独立歩行寄りの形態があることが確認された。また,体向においては探索行為との関連による推移が見られた。さらに,つかまり歩きの動作には左右差が見られ,上肢と下肢の協調がつかまり歩きの習熟に大きな役割を果たしていることが示唆された。つかまり歩きは環境によって異なる形態を見せることが示され,生態心理学的に移動運動発達を捉える意義について議論された。

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© 2008 一般社団法人 日本発達心理学会
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