発達心理学研究
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確率量化操作の発達的研究 : 「サイコロ課題」を用いて
伊藤 朋子
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2009 年 20 巻 3 号 p. 251-263

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抄録

本研究では,中学生32名と大学生54名を対象に,サイコロふりに関する基礎的な確率課題を出題し,伊藤(2008)の確率量化操作の4水準の発達段階を理論的に発展させた3段階2水準の発達段階の妥当性を検証する調査を行った。その結果,確率量化以前の段階0,基本的な1次的量化が可能な段階IA,加法的合成を伴う1次的量化が可能な段階IB,基本的な2次的量化が可能な段階IIA,加法的合成を伴う2次的量化が可能な段階IIB,基本的な条件付確率の量化が可能な段階IIIA,ベイズ型条件付確率の量化が可能な段階IIIB,という確率量化操作の発達段階が見出された。中学生の多くは段階IAにとどまること,大学生の多くは段階II以上にあるが,段階IIBで必要とされる場合分けという第1の障壁のために段階IIAにとどまる場合があること,段階IIBに到達した大学生でも,思考の可逆性という第2の障壁のために段階IIIの到達には困難を要することが明らかになった。

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© 2009 一般社団法人 日本発達心理学会
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