発達心理学研究
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順列操作の実行的理解と概念的理解 : 「対称性の理解」を中心に
阪脇 孝子中垣 啓
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2009 年 20 巻 4 号 p. 337-350

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抄録

本研究では,順列操作の発達に関して,順列を実際に作成する際の「実行的理解」と,順列の組織性の発見に関わる「概念的理解」とを区別し,一般化された概念的理解の発達指標として「対称性の理解」(中垣,1979)が適切なものであるかどうかについて検討を行った。研究1では,幼稚園年長児,小学校2年生,4年生,6年生,中学校2年生を対象として,ブロックを用いて順列を作成する課題(実行的理解に関する課題)と順列の総数予測(概念的理解に関する課題)および対称性の理解を問う課題等を実施した。その結果の分析により,対称性の理解が確立されている場合,複雑な課題であってもより安定した遂行成績が得られる傾向が示された。研究2では,さらに研究1の結果を元に,概念的理解の確立に至る前の移行的年齢層であると思われる小学校5年生を対象として同様の課題を実施した。その結果の分析により,研究1と同様の結果が得られた。これらの検討から,対称性の理解が順列操作の一般化された概念的理解の発達指標として適切であるということが示された。

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© 2009 一般社団法人 日本発達心理学会
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