2010 年 21 巻 2 号 p. 192-199
本研究では,女子大学生の乳児への関わり方が乳児との接触経験により違いがみられるかどうかについて,あやし行動,あやし言葉,音声の視点から検討を行った。実験参加者(18〜23歳)は,乳児との接触経験がある女子大学生16名(経験有群),乳児との接触経験がない女子大学生14名(経験無群)である。対象乳児は,生後3〜4ヶ月児(男児3名)である。実験の結果,あやし行動は,乳児との接触経験有群の方が,経験無群よりも,乳児への行動レパートリーが多く,乳児のぐずりが少なかった。あやし言葉は,経験有群が経験無群よりも発話レパートリーが多く,乳児の気持ちや考えを代弁するような言葉かけをした。音声については,両群ともに乳児へ話しかける声の高さは高くなり,Infant-directed speechの特徴が出現した。さらに,発話速度については,経験有群の方が,ゆっくりと話しかけていた。以上のことから,乳児と接触経験をもっている女子大学生は,多様なあやし行動を身につけていることが示唆された。