発達心理学研究
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巨大地震への対応にみられる親子関係 : 子別れの観点からの検討
根ヶ山 光一
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2010 年 21 巻 4 号 p. 386-395

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抄録
環境対処能力の発達を明らかにする目的で,1995年1月に発生した兵庫県南部地震への子どもと親の反応が兵庫県下のニュータウンで調べられた。対象とされたのは同ニュータウンの私立Y幼稚園に通園する園児とそのきょうだい315名(0〜16歳;平均6.1歳,SD=2.4;男児176名,女児136名;第1子166名)とその両親である.地震発生時75.2%の子どもが親と同室就寝しており,10.5%が一人で寝ていた。地震に対して親は大きな驚きを示したが,子どもの約30%は驚きをほとんどあるいは全く示していなかった。年少の子どもほど驚きが少なく,その変節点は7歳であった。親の多くは子どもを抱いたりその上におおい被さったりして,身をもって子どもを守ろうとしていた。それは幼い子どもの場合により顕著であったが,手を握って安心させる,あるいは声をかけるという保護行動が年齢とともに増加していた。子どもの自発的行動は,親のもとに来るという行動から布団をかぶるという行動へと発達的に変化していた。これらの結果をもとに,子どもの生命を誰がどう守るのかが子別れの観点から議論された。
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© 2010 一般社団法人 日本発達心理学会
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