抄録
農林業食害対策により駆除された野生日本鹿皮を畜産資源として有効に利用するため、これらの鹿革の各種特性を調査研究した。本研究では、宮崎産日本鹿から4 種類のセーム革を試作し、基本物性、革線維構造の走査電子顕微鏡観察、「拭き材」としての消費性能(耐摩擦傷性、脂汚れ取り性、摩擦係数、耐繰り返し洗濯性)について、綿製品(タオル、ティッシュペーパー)や極細繊維製品の他素材と比較検討を行った結果、セーム革は非常に微細な革線維構造、優れた耐摩擦傷性と脂汚れ取り性と耐繰り返し洗濯性を備えており、用途拡大への可能性を示した。