2024 年 52 巻 2 号 p. 136-140
【要旨】 日常診療の対象は成人が圧倒的に多く,小児医療に関わる医療者も成人に比べると少なく,さらに周術期管理となると職種にかかわらず苦手意識をもたれがちである.小児は成長や発達の過程にあり,麻酔に際して成人とは異なる配慮が必要である.歯科麻酔と小児麻酔はその対象となる患者背景や麻酔管理に関していくつもの共通点がある.小児症例の多い施設であっても,その周術期管理や麻酔方法は施設により異なり,全身麻酔に使用する薬剤や鎮痛管理方法などにおいて統一されたものはない.小児の解剖・生理学的特徴を理解したうえで,各施設で最大限安全に,そして子どもたちにとって苦痛のない全身麻酔や鎮静が行われることが望まれる.本稿ではわれわれの施設で行っている小児の麻酔管理をベースに術前から術後まで,そして小児に特有の管理についてなるべく新しい情報を交えて提示させていただく.