日本生物学的精神医学会誌
Online ISSN : 2186-6465
Print ISSN : 2186-6619
ゲノム情報とiPS細胞技術を活かした精神疾患の病態解明と創薬への応用
有岡 祐子奥村 啓樹
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ジャーナル オープンアクセス

2022 年 33 巻 3 号 p. 123-128

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抄録

精神疾患は,患者自身に多大な苦痛とQOL低下を引き起こすと同時に,膨大な社会的損失をもたらす。しかし,未だ精神疾患の病態解明には至っておらず,根本的な治療法開発は実現できていない。その理由のひとつとなっているのが,「精神疾患の病態メカニズムを解析・検証できる実験モデル確立の困難さ」である。この課題に立ち向かうべく注目されているのがiPS細胞である。精神疾患の病態解明研究にiPS細胞技術が取り入れられた当初を振り返ると,単に「健常者vs精神疾患患者」での比較を行った報告が主流であった。近年では,精神疾患発症のリスクゲノムバリアントに基づいたアプローチへと変化しつつある。本稿では,ゲノムとiPS細胞のコラボレーションによる筆者らの研究成果を紹介するとともに,iPS細胞のメリットとデメリット,そして精神疾患の病態解明と創薬におけるiPS細胞の可能性について述べる。

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© 2022 日本生物学的精神医学会
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