2023 年 2 巻 1 号 p. 44-53
超高齢社会に伴い頭頸部癌患者が増加し,顎顔面補綴治療を必要とする症例が増加している。顎顔面補綴治療は,各種顎顔面補綴装置を用いて頭頸部欠損患者の機能,整容性の回復および心理的改善を行うことを目的とする支持療法である。活用される顎顔面補綴装置は,用途および形態の双方においてバリエーションが広い。究極のオーダーメイドである顎顔面補綴装置の製作には,患者,歯科技工士,歯科医師の密なコミュニケーションが不可欠である。本稿では,下顎の特異性,下顎欠損症例に起こりうる事象,下顎欠損症例における下顎顎義歯の製作に要する技工操作の留意点を解説する。そして,筆者が考える解決すべき課題と今後の展望に触れる。