2011 年 47 巻 3 号 p. 96-102
今日,IT機器の多機能化傾向が著しい.しかし多機能化によって操作が複雑化し,高齢者にとって,使いにくい機器となっている状況が見受けられる.機能を減らせないのであれば,インタフェースを設計する際に「分かりやすい」といった認知的負荷を減じる対策を行うと同時に,ユーザの操作を積極的に支援するインタフェースも必要であると考えられる.そこで本研究では,音声ガイダンスの提示と同時に画面上の該当表示に注意(視線)を誘導する視覚ガイダンスを付加した「操作支援型方式(音声・視覚ガイダンス:ダイナミックガイダンスと呼ぶ)」を提案し,その支援効果について,高齢者が苦手としているATMを事例に検証を行った.その結果,探索や確認を行う場面で,操作時間を短縮することができ,その効果が認められた.一方で,ガイダンスの速度が速すぎる場合は,焦りを与えることも示唆された.これらの結果をもとに,効果的なガイダンス設計の設計指針を提案した.