人間工学
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最新号
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エディトリアル
リサーチ・イシュー
  • 佃 五月
    2024 年 60 巻 3 号 p. 161-164
    発行日: 2024/06/15
    公開日: 2024/07/03
    ジャーナル フリー

    日本人間工学会の企業活動推進委員会では,企業における人間工学活動の現状を把握し,今後の委員会活動に活かすことを目的として,アンケート調査を実施した.調査対象は,企業に関係するJES会員と認定人間工学専門家であり,107名の有効回答を得た.結果から,企業における人間工学活動において“課題や困りごとがある”という割合は約7割であり,また「組織における人間工学の認識やプレゼンスが低い」が最も多い課題であることがわかった.企業活動では,人間工学が単なる設計手法ではなく,企業の価値創造の一環であることを社内で伝えていく必要があり,社外の成功事例や企業内での実績を情報共有しつつ,今後のビジョンなども示せるとよいと考える.また学会としては,できるだけ多くの成功事例などを情報提供するとともに,気軽に相談できる場も提供できるとよいと考える.

  • 境 薫
    2024 年 60 巻 3 号 p. 165-167
    発行日: 2024/06/15
    公開日: 2024/07/03
    ジャーナル フリー

    急速なデジタル化社会においてサービスの使い勝手の悪さは未だ問題として残されている.人間工学実践者が開発に参画するには,職能横断型開発体制において適切なコミュニケーションと人間工学のアウトカムを明示する必要がある.そのために,プロジェクト運営視点でのリフレクション共有や他領域専門家らとの積極的対話により人間工学の独自性について解像度を上げる活動を提案する.

  • 横山 詔常
    2024 年 60 巻 3 号 p. 168-171
    発行日: 2024/06/15
    公開日: 2024/07/03
    ジャーナル フリー

    地域中小企業の技術支援を行う公設試験研究機関に焦点をあて,公設試験研究機関のミッションを述べるとともに,アンケートにて人間工学関連業務の問題点を抽出し,取り組むべき課題を考察した.今後,国内製造業を支える地域中小企業の支援方策として,人間工学の価値創出の具現化と社会実装の促進,実験倫理対応の簡素化,地域間の連携体制の強化,人間工学の診断カルテなどを提案する.

  • 能登 裕子
    2024 年 60 巻 3 号 p. 172-176
    発行日: 2024/06/15
    公開日: 2024/07/03
    ジャーナル フリー

    医療従事者の労働には,様々な要因によって健康障害が発生する.本リサーチ・イシューは看護職者のヘルスニーズに焦点を当てる.医療従事者の労働環境整備に関する知見と看護労働に関するヘルスニーズの実態を概観し,人間工学にて対処することが望まれるリサーチ・イシューをまとめた.1)ヘルスニーズの適切な把握,2)システム要素・相互作用の概念化,3)ヘルスニーズに基づく人間工学対策の知見の蓄積,これらを推進するためには,医療従事者のヘルスニーズを人間工学課題として包括的に整理し,医療施設・関連組織との連携・協働の促進,実践の場を含めた研究・実践を展開する必要がある.

オープンデータ
  • 志村 恵, 下村 義弘
    2024 年 60 巻 3 号 p. 177-183
    発行日: 2024/06/15
    公開日: 2024/07/03
    ジャーナル フリー

    運動学習に関する先行研究では,多くの分野で非熟練者と熟練者の筋活動に顕著な差異が報告されている.しかしタスクと独立した学習進度の定量的評価方法は検討されていない.本研究では,運動学習の進度(熟練度)の定量評価を目的とし,広範囲で格子状に筋活動を測定できる多点表面筋電図計測デバイスを開発した.実験では和太鼓の「地打ち」を課題とし,未経験者と熟練者の筋活動を比較した.熟練度の指標として筋活動の効率化に注目し,情報エントロピーを算出した.また全体平均振幅と筋活動分布画像から筋活動の傾向を確認した.結果,熟練者と未経験者の筋活動には差異が見られ,熟練者は瞬発的かつ制御された筋活動を示した.一方で未経験者は活動の不規則性が高く,情報エントロピーの平均値が熟練者に比べて高かった.運動学習よる筋活動変化の過程について,定量的な評価が可能であることが示唆された.

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