人間工学
Online ISSN : 1884-2844
Print ISSN : 0549-4974
ISSN-L : 0549-4974
原著
多指を用いた視覚障害者支援用触覚ディスプレイ開発のための基礎研究
松本 悟志嶋脇 聡酒井 直隆
著者情報
ジャーナル フリー

2011 年 47 巻 6 号 p. 261-267

詳細
抄録
本研究は,より少ない刺激ピン数で触覚情報を視覚障害者に伝達するために必要な呈示方法の基礎研究を目的としている.本研究では,10行×横8列の合計80ピンの触覚ディスプレイを試作した.そのピン動力源としてソレノイドを用いた.母指以外の8指をディスプレイに置き,動作したピンを感じ取ることにより,呈示された触覚情報を読み取ることができる.視覚障害者5名と晴眼者10名を対象に本装置の評価を行った.はじめに,呈示方法の最適条件を求めた.次に,文字情報伝達を学習前と学習後でどの程度正答率に差が出るかを求めた.測定結果より,視覚障害者は晴眼者と比較して,触覚認識能力がかなり敏感であることが示された.また,文字情報測定において,短時間の学習後に著しく正答率が上がることから,本研究で試作した触覚ディスプレイは,触覚情報の伝達に有効である可能性を示唆した.
著者関連情報
© 2011 一般社団法人 日本人間工学会
前の記事 次の記事
feedback
Top