抄録
自動車助手席では,下肢姿勢によらず足の安定化が困難であった.このため,体格差やハイヒールなどの履物によらず,膝を伸展しても足を安定化できるフロア条件を探索した結果,通常座面高でヒンジポイント位置から前方776~962 mmの範囲に,高さ74 mm,手前間隔140mm,奥169 mmの足支持板を立てればよいことがわかった.支持板はたためるようにし,高身長者と乗降への干渉を避けた.また,このフロア条件で膝が安定し,膝裏圧迫を解消する座面条件を求めた結果,膝を閉じて座る低身長者には座面中央部の幅226 mm を座面長439 mmにして大腿側面を支えるサイドサポートをつけ,膝を開く高身長者には左右外側の座面長を491 mmにして大腿下側面を支えればよいことがわかった.提案条件によれば,女性身長5~95パーセンタイルで,ヒール高60 mmでも安定した膝伸展着座が可能であり,座面端による膝裏圧迫も軽減できる.