2012 年 48 巻 6 号 p. 304-312
本報では下関の習熟したふぐ処理師の品質評価を解析してモデル化することで,トラフグ身欠きの品質評価システムを開発することを目指している.試料魚にふぐ処理師により5段階に品質評価されたトラフグ身欠きを用いて,ふぐ処理師の品質評価,魚肉鮮度および魚肉のかたさの関係について統計的解析を行った.その結果,ふぐ処理師の品質評価には魚肉鮮度が良好に反映すること,魚肉のかたさは関連しないこと,魚体体表の4箇所の色彩が反映することが明らかとなった.これらの色彩を説明変量とする統計的モデルは,ふぐ処理師の品質評価と70%以上が一致する高い確度を示すものとなり,ふぐ処理師の知見を品質評価システムに活かす手法が有効であることが確認された.