2013 年 49 巻 5 号 p. 203-210
本研究では自動車運転中の視野狭窄現象のメカニズムを解明することを目指し,有効視野とメンタルワークロードの関係を実験により検討した.実験では,自動車運転時の映像を背景とし追従眼球運動時の有効視野を計測するための視覚刺激への反応課題を実施した.また,メンタルワークロードとして,被験者に数的課題(読み上げ,加算)を副次課題として与える実験を実施した.結果として,メンタルワークロードの増加に伴い有効視野が顕著に狭窄することを示した.この結果は,従来から提唱されている情報処理資源と視野の広さと深さに関する視野狭窄メカニズムを裏付けるものであった.また,メンタルワークロードの増加に伴う有効視野の狭窄は眼球停留時のみならず追従眼球運動時でも同様に,水平方向に先行して垂直方向からから生じる事を明らかにした.