2014 年 50 巻 2 号 p. 84-91
著者らは,看護コミュニケーション教育を支援する目的で,仮想病室に患者と看護実習生役のアバタを実装した身体的バーチャルコミュニケーションシステムを開発し,有効性を示した.本システムは,対話者のノンバーバル情報に基づいて対話者の化身であるアバタのノンバーバル行動を生成し,仮想病室で対話者相互のアバタのインタラクションを観察しながらコミュニケーションできるシステムである.
5組10人の看護学生を対象に,システムを用いたロールプレイングによるコミュニケーション実験を行い,官能評価,自由記述内容の結果,「役になりきれた」「対話しやすさ」「システムを使用したい」などの項目で肯定的に評価され,看護学生同士の対面でのロールプレイングよりも有効であることが示された.患者体験ができ,役になりきることが可能なシステムであることが確認され,本システムによる新たな看護コミュニケーション教育支援の活用可能性が示された.